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徒然なるままに

集団的罪悪感(Collective Guilt)とは-サウスパークから英語・文化を学ぶ②

サウスパークシーズン20-1の「MeMber Berries(ナツカシベリー)」というエピソードを見ました。カウンセラーのMr. MacheyとKyleが話しているシーンがあるのですが、その会話の中に聞き慣れない言葉がありました。

 

German Collective Guilt(ドイツ人の集団的罪悪感)です。

 

その言葉が出てきたKyleの発言は以下の通りです。

 

I think they called it German Collective Guilt, right? Where even the Germans who just did nothing while Hitler rose to power were, were maybe somehow also responsible?

-確かドイツ人の集団的罪悪感です。何も悪いことをしていない普通の人が責任を感じること(Netflix和訳)

 

集団的罪悪感ってなんだ・・・?と思い思わず一時停止してしまいました。英文と和訳、ドイツ人という組み合わせから察するに、「自分自身が何かをしたとかいう訳ではないが、自分の属する集団が犯した罪に対して自分が罪を犯したかのように責任を感じること」なのかなと思い、興味が湧き調べてみました。

 

まずはgoogleでシンプルに「集団的罪悪感」と検索してみます。

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「集団的罪悪感」検索結果

トップに研究論文が来て、Wikipediaが出てこないところを見るとあまりメジャーな言葉ではないような印象を受けます。ただ、薄々とですが、この言葉は本来知っておかなければいけないものっぽいという感じはしました。

 

上記画像に表示されている KAKEN - Reasearch Projects | 集合的罪悪感の促進が・・・に求めている答えがありました。

集合的罪悪感とは、「集団の一員として自分の属する集団の不当な行為に対して経験される罪悪感」と定義され、謝罪意図などを高めることで集団間葛藤の解決に重要な役割を果たす感情として社会心理学の分野で多くの研究が行われている(Branscombe & Doosje,2004)。 

概ね予想通りといったところでしょうか。念のため、一次資料である Collective Guilt: International Perspectives (edited by Nyla R. Branscombe, Bertjan Doosje)を見たところ、上記の内容を確認することができました。興味がある方は読んでみてください。

 

集団的罪悪感について分かった所で、German Collective Guilt に戻ります。日本語ではなく英語で検索すると英語版のWikipediaの記事がすぐ出てきます。

German collective guilt refers to the notion of a collective guilt attributed to Germany and its people for perpetrating the Holocaust and starting World War II.

簡単に言うと、ホロコーストを起こし、第二次世界大戦を引き起こしたことに対するドイツ人の罪の意識ということになるのだと思います。 同じ枢軸国だったドイツと日本でも、ドイツの方が罪を認めて謝罪をしているとはよく言われてますね(日本が全く罪を認めることも謝罪もしていないと言う意図ではありません)。ドイツ人は集団としてその罪を認識し深く反省し、罪悪感を抱えているのです。ちなみに、Japanese Collective Guiltで検索してもWikipediaの記事は出てきません。ドイツとは異なり、英語圏での共通認識ではないようです。まあ、日本語でもあまり馴染みのない言葉である事からも当然ですよね。

 

サウスパークで出てきた見慣れない言葉についての記事を書いている内に、内容が政治的になってしまいました 笑 集団的罪悪感について調べている中で、「戦争の記憶ー日本人とドイツ人」という本を見つけました。

www.amazon.co.jp

この本は、日本人とドイツ人の第二次世界大戦への戦争観について書いているそうです。kindleはなく、中古での文庫の購入しかできませんが、時間を見つけて読んでみたいと思います。そして、集団的罪悪感に対する自分の考えをまとめてみたいと思います。